ブログに戻る

【イベントレポート】SYMMETRY LIVE #3 デジタルツインカオスマップ企業紹介

こんにちは!シンメトリー 広報担当の田澤です!

今日は、10月12日に開催した「SYMMETRY LIVE #3 デジタルツイン業界カオスマップ 掲載企業紹介!」のイベントレポートをお届けします!

 

シンメトリーは、2020年10月26日にデジタルツイン業界のカオスマップ 第1弾をリリースしました。

デジタルツインカオスマップvol.1

(2020年10月版カオスマップ)

2020年10月版カオスマップでは、業界構造や市場におけるプレイヤーの把握を目的として作成し、ソリューションプロバイダー、デジタライゼーションなどのカテゴリー化を行いました。

そして、2021年8月19日に発表した第2弾のカオスマップがこちらです。

デジタルツインカオスマップvol.2

(2021年8月版カオスマップ)

デジタルツインに関連する企業の増加に伴い、カテゴリー内の業種も変更しました。ソリューションプロバイダーは動きが活発な3つの業種をピックアップし、デジタライゼーションはデータ提供とバックエンドシステム、通信キャリアなど幅広く掲載しています。

 

今回のイベントでは、2021年8月にリリースしたカオスマップの中でも、最も活発な動きを見せている、AEC Industry(建設業界)Smart City / Cross Industry(スマートシティ / 業界横断型)の企業を紹介しました。


なぜこの企業に注目したのか?

事業開発部逸見

シンメトリーの逸見です!

大学卒業後、ゼネコンへ就職。現場監督を経て、デンマークへ留学し、帰国後デザインコンサルティング事務所で勤務。現在シンメトリーでデジタルツイン導入やコンサルティングに携わっています。

今回ご紹介するのは、カオスマップを作成する中で僕が個人的に注目した企業です。


AEC Industry(建設業界)のデジタルツイン関連企業

そもそも建設業界がデジタルツイン市場で活発な動きを見せている背景には、デジタルツインを構築する上で必要な建物の3Dデータや点群データを保有していたことが大きく関係している。一方で「人材不足」という課題を抱える業界でもあり、業務効率化に迫られているという背景がある。

 

 POINT 

  • 使いたくなるサービスはオシャレかどうかが分岐点

  • ファシリティマネジメントはダッシュボード3Dが鍵

  • 使い続けるサービスに共通する3つのポイント

 

NEURON LOGO

サービス名:NEURON(ニューロン)

会社名:Arup(アラップ)

拠点:ロンドン

  • 建物の環境制御、運用管理、利用状況把握などを一括で管理できる、スマートビルディング向けの「BIM+IoT+分析」のプラットフォーム
  • ファシリティマネジメント分野でのデジタルツイン
  • BIMデータをベースに、IoTのセンサーデバイスをシステム上で統合
  • スマホやタブレットからアクセス可能
  • 独自のAIによって電力の消費傾向や消費予測をシステム上で表示できる。施設管理者のネクストアクションをサポート

RESONAI LOGO

サービス名:VERA(ヴェラ)

会社名:Resonai(リソナイ)

拠点:イスラエル

  • 建物のリアリティモデルをベースに、Resonaiが提供する様々なアプリケーションと連動することで、IoTデバイスとの連動やナビゲーションシステムの構築等が可能
  • 施設の運用だけでなく、管理、メンテナンスのフェーズまでカバーしたサービス
  • 現実世界と仮想空間を行き来するような使い方ができる

例えば、壊れたコンセントの写真を撮ってシステム上にアップすると、デジタルツイン上の該当地点にレポートが上がり、メンテナンスをする人がデジタルツイン上でレポートを確認することができる。そして現実世界のオフィスへ行くと、ARナビゲーションが表示されて、そして課題があるところまで連れてってくれる参考動画

今までの施設運用は、運用してる人とメンテナンスする人の連携は難しかった。資料はバラバラに管理され、施設の図面や壊れた設備の情報を探すのに苦労していたものを一括管理し、かつARでの案内があるのは面白い。残念なのは、日本だと体験できない点。

どんなサービス、アプリでもそうだが、画面操作が複雑だと使いたくなくなる。だが、このサービスはオシャレ。画面のオシャレさ、スマートさは重要なポイントだ。

moicon LOGO

サービス名:moicon(モイコン)

会社名:moicon

拠点:ノルウェー

  • BIM/CADのデータをベースにしたデジタルツインの構築が可能

  • 3Dのアセットデータが含まれているので、設計段階でのシミュレーションなどができる

  • 設計データ上にコメントを入れることで、建物を建てる際のコミュニケーションツールとして使用できる上、IoTのセンサーをつけることで施設内の機材稼働状況の把握が可能

  • 建設業務全般で活用が可能なデジタルツインを構築できる

今のBIMはプロジェクト管理的な側面が大きいが、将来的にはコミュニケーションの要素も追加され、工程ごとに活発なコミュニケーションが可能になるのではないかBIMの理想かもしれない。

最近ノルウェーやフィンランドなどの北欧でデジタルツイン関連のサービスが増えている傾向に気づいたと言う。これにはSolibri(ソリブリ)というソフトウェアの会社や、CAD周りのアドオンサービスを提供している会社が北欧に多いことが関係している。

City Zenith LOGO

サービス名:Smart World Pro(スマートワールドプロ)

会社名:city zenith(シティゼニス)

拠点:シカゴ

  • BIM/GIS/IoTのデータを統合し一元管理できる
  • ファシリティマネジメント用プラットフォーム
  • CSV、IFC、DWG、DXF、GeoJSON、JSON、KML、シェープファイル、テキスト、XML等のデータの連携も可能
  • デジタルツイン上で現実世界の電気のON・OFFがの操作が可能。現実世界と仮想空間の両方が連携するのが特徴

ファシリティマネジメント系のサービスは、ダッシュボードと3D表示による”わかりやすさ”と”使いやすさ”が重要

仕事で使い続けているものを思い浮かべてみて欲しい。仕事で使うものこそコロコロ変えたりしない。「わかりやすくて、使いやすくて、かっこいい」という三拍子が揃っているモノやサービスこそ、長く使い続ける。この三拍子こそ、使い続けたい(=愛される)モノやサービスの共通点だ。


建設業界からは4社を紹介しました。ここからはSmart City / Cross Industryという業界を横断する企業を紹介します!

Smart City / Cross Industry(スマートシティ / 業界横断型)

一つの業界のサービスだけではなく、さまざまな分野の課題を解決する会社が増えてきたため、2021年8月版カオスマップで新たに追加したカテゴリーだ。

 

 POINT 

  • 環境問題、気候変動とデジタルツイン
  • スマートシティの成功と市民の意見

 

GRID LOGO

サービス名:ReNomApp

会社名:GRID

拠点:日本

  • 現実世界をデジタル空間上に再現するデジタルツイン技術とAI技術によって自動化・最適化させC02削減に貢献する開発プラットフォーム
  • スマートシティのアプリケーション開発も行っているため、CO2削減以外の様々なサービスが今後出てくるのではないかと予想する

High Topo LOGO

サービス名:High Topo(ハイトポ)

会社名:Hightopo

拠点:中国

  • ブラウザベースのスマートシティ、スマートファクトリー、スマートビルディングのシステムを開発する企業
  • BIMや点群データはもちろん、IoTのセンサーデータ、天気などのAPIの情報をシステム上で可視化することができるサービス
  • 街の気温や人の情報等、街中に設置しているセンサーの情報を抽出し可視化することで、都市計画などに活用できる

51WORLD LOGOサービス名:Smart City Operation System(スマートシティオペレーションシステム)

会社名:51World(フィフティワンワールド)

拠点:中国

  • スマートシティを構築する上で必要なシステムを作っている会社
  • BIM/点群、センサー情報の可視化の他、監視カメラなどの情報も扱うことができ、一元的に可視化するサービスを提供している
  • 監視カメラの映像を解析して細かい情報を可視化している。参考動画

中国はエネルギーや大気汚染の規制が厳しいため、デジタルツインのシステムを使って、どこの建物がCO2の排出量が多いかを把握し、一定基準を超えると、すぐにその会社に通知が届くようなシステムがある。

全世界共通の課題として掲げられている気候変動。中国の習近平主席は、2030年までにCO2排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現する「3060目標」を公表している。

気候変動問題の解決に向けたサービスが徐々に増えてきたというのが、中国のデジタルツイン市場の傾向だ。

xD LOGO

サービス名:xD Twin(エックスディーツイン)

会社名:xD Visuals(エックスディービジュアル)

拠点:フィンランド

  • 都市開発や都市計画のプロジェクトのためのデジタルツインのサービス
  • 一般市民も使えるサービスで、市民が意見をシステム上に反映できる

スマートシティのようなステークホルダーが多いプロジェクトは、市民の意見を置き去りにするとプロジェクト自体がダメになってしまうケースがある。その問題点を解決できるサービスであることから注目している。

都市開発や都市計画においては、住民からの意見をどう吸い上げるかが鍵を握る

カナダのスマートシティの事例で、住民の意見がうまく反映されなかったことで反発が起きたケースが実際にあった。企業がただ営利目的を進めるのではなく、住民と一緒に取り組みを進めることができるサービスが出てくるか、そのサービスを活用できるかが重要になりそうだ。

スマートシティ関連のサービスは、市民との合意形成を行う機能を含む必要性を感じる。


と、各企業の紹介は以上です。

 

最後に、デジタルツイン市場の2つの特徴をまとめます。

 

①クラウドベースのサービス増加

コロナウイルスの影響で行動が制限され、在宅勤務やリモートワークが普及しました。遠隔で仕事しなくてはならない状況において、クラウドが必要になったのは明らかです。

デジタルツインやスマートシティで扱うデータは種類が多く、さまざまな会社が提供するデータやネット上にあるデータを組み合わせて使うことになります。今までのようなクローズドなシステムでは対応しきれないため、よりオープン的なシステムが必要になります。

②データの民主化

アメリカの政府機関が保有する様々な統計データに係る各種データセットを提供するサイト「DATA.GOV」では、現在32万件を超えるデータセットが集まっています。日本の各府省の保有データをオープンデータとして利用できる「DATA.GO.JP」では、現在約27,000件ものデータが集約されています。

先ほどのクラウドの話でも触れましたが、扱うデータの種類の多さと何通りものデータの組み合わせがデジタルツインやスマートシティでは必要になります。

今後、国や自治体、各企業が持つデータにアクセスでき、データを有効に活用できる環境が広がれば、デジタルツイン市場自体もさらに拡大していくでしょう。

 


最後まで読んでいただきありがとうございました!

▼イベント動画はこちらから▼

 

沼倉と逸見のTwitterでは、イベント内で触れられなかった企業や、市場動向、デジタルツイン関連情報も発信しています。ぜひチェックしてください!

沼倉Twitter:@ShogoNu

逸見Twitter:@Pepe__000

 

次回のSYMMETRY LIVEは12月を予定しています。

詳細は決定次第お知らせいたしますので、お楽しみに!