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【社員紹介】デジタルツインの技術を支えるR&D部門リサーチャー(Tommi Keränen)

2020年8月にSymmetry Dimensions Inc.(以下、シンメトリー)に入社したTommiさん。

フィンランド出身で2017年に来日。シンメトリーのR&D部門でデジタルツイン技術の研究開発を担当しています。

SYMMETRY LIVE #1 研究発表

(SYMMETRY LIVEで研究発表中のTommiさん)

 

大企業からスタートアップ企業へのキャリアチェンジ

ーなぜシンメトリーへ?

シンメトリーに入る前は、大企業でコンピュータビジョンやAIの開発に携わっていましたが、以前から興味のあったARやVRの仕事に戻りたいとずっと思っていました。

大企業では、何百人もの同僚と足並みを揃えなければならない場面がどうしても出てきますが、スタートアップ企業は問題を解決するために多くのアプローチを迅速に行います。

こうしたスタートアップ企業の意思決定や仕事のスピード感と、個人の力を発揮できる環境に魅力を感じていました。

この会社が目指す製品のスケールや仕事の質の高さに惹かれ、入社を決めました。

 

ー今どんな仕事をしているんですか?

R&D部門で、現実の世界にデジタルな次元を重ねる技術の実現に役立つような新しいアイデアを探っています。

基本的には、新しい技術の研究とプロトタイプやデモの作成、多くのテストを行い、プロダクトを開発する担当者に渡して作業をしてもらいます。

今の私の目標は、一般のユーザーが簡単にデジタルツインを現実の世界に結びつける、その方法を見つけることです。


 

フィジカルとデジタル 双方向のデータ反映と共有

点群マッチング技術_Tommiさん研究発表

(6/30 SYMMETRY LIVE #1 でのTommiさん発表)

6月30日に開催したイベント「SYMMETRY LIVE #1」では、R&D部門の取り組みの一つとして「点群マッチング*1」という技術を発表しました。これはTommiさんが取り組んだ研究です。

(*1 ベースになる点群と新しく取得された点群の特徴点を抽出して位置を合わせる技術)

 

ー点群マッチングとはどんな技術なんですか?

デジタルツインには、現実世界のあらゆる情報が記録されており、その中には多くの場所(将来的には世界中すべて)の詳細な3Dスキャンデータや建物のモデルも含まれています。

例えば、ユーザーにスマートフォンのLiDAR(ライダー)センサーなどで部屋の中をスキャンしてもらいます。撮影した点群をBIM等のデータと比較すれば、BIM等のデータ内でのスマートフォンの正確な3D位置と向きを推定することができます。

この情報を利用して、スマートフォンのカメラビューにAR(拡張現実)のビジュアルを正確に描画したり、部屋の中にある家具や家電などの情報(メーカーやシリアルナンバーなど)が表示され、簡単にアクセスすることができます。

 

ー点群マッチングの技術を研究しようと思った理由は?

ARでは、ユーザーの位置を確認したり、写真や動画などを表示させ多くの情報を届けるために、マーカーを使用します。

マーカーには、QRコードや紙に印刷されたものなど様々な種類があります。

紙などにマーカーを設定する作業をスキップして、もっとシンプルに、周りの世界の形をそのまま使う事ができたらいいなと考えたのがきっかけです。

「世界全体がマーカー」のようになったら…って結構素敵な考えだと思っています。

 

ーどのような仕事で活用が期待できますか?

例えば、メンテナンス担当者が、その設備や機器に関するタスクリストやエラーレポート、メモなどを視覚的なガイダンスとともに見ることができるようになります。

個人的には、一般の人々の日常生活において、まるで現実世界に存在している物のように触れるようになることを一番期待しています。

目の前にある道や建物、部屋に関するオンラインデータに、誰もが簡単にアクセスできるようになってほしいです。

 

ー研究開発時に感じた難しさは?

ユーザーが撮影した点群データを正しくマッチングさせるには多くの課題があります。

例えば、ベースとなるビル自体の点群データを持っている場合、新たに取得したビルの中に入っている店舗の点群データを組み合わせる作業はとても難しいです。

正しく点群をマッチングさせるためには、複数の追加センサーからのデータが必要ですが、すべてのセンサーがすべての場所で使えるわけではありません(例:GPS)。

さらに、世の中には交通量の多い道路や、常に一定の場所にあるとは限らないものや動く物(車や看板など)がたくさんあります。

そのため、マッチングさせるのがとても難しいのです。

時々、もっと大きな研究チームがあったらなあ、と思うこともあります。(笑)

名称未設定 1

(外見も中身もクールなTommiさんですが、おちゃめな一面も)


 

今はまだ活用できていない分野で多くの可能性を追求したい

ー今後はどのような研究をしたいですか?

AI技術を使えば、今はまだ活用できていない分野、特にコンピュータビジョン関連には多くの可能性が秘められています。今後はその可能性を追求していきたいと思います。

 

今回はR&D部門で働くTommiさんのインタビューを紹介しました。

次回の社員インタビューもお楽しみに!


 

【イベントのご案内】

SYMMETRY LIVE #2

「その時、現場で何がおこっていたのか。静岡点群サポートチームによる解説!」

日時:8月24日(火)19:00〜20:30 @YouTube Live

静岡県熱海市で発生した大規模土石流災害で被害状況の把握、分析にあたった静岡点群サポートチームの皆さんにご登壇いただきます。

今回の災害発生時の初期段階で、実際にどのようにオープンデータを活用し対策を行ったのか、今回の災害対応でどのような課題が見えたのかをお話しします。

その他、詳細はこちらからご確認ください!